胸を包むように衿合わせがしたいと思ったら、胸を包むだけの巾の広い長襦袢を作らなければいけません。単純に着物の寸法から割り出す 長襦袢 の寸法は本当に胸を包むだけの巾のある長襦袢なのでしょうか。今回は、手持ちの長襦袢が胸を包むように衿合わせをするための寸法になっているのか見極めるポイントをお伝えします。
胸を包むような衿合わせ とは
「胸を包むような衿合わせ」とは、長襦袢の衿がバストトップよりもさらに向こう側(脇側)に来るよな衿合わせを指す。
胸を包むような衿合わせを叶えるためには
胸を包むような衿合わせを叶えるためには、胸を包むだけの布が前身頃になければいけない。具体的には「抱巾」という寸法が胸を覆うだけの十分な巾になっているのかがポイントである。
抱巾が十分な巾かどうか見分けるポイント
手持ちの長襦袢は胸を包むような衿合わせを叶えてくれているのか見極めるポイントを紹介する。下の写真は無理に胸を包んだ場合の着姿である。このような布の余り方をしている場合は、抱巾が足りていないと判断する。
無理に胸を包むと何が起こるのか①
無理に胸を包もうとすると、下の写真のように脇の布がたるんでくる。横からの写真を見るとたるんでいるのがよく分かる思う。多少のたるみは許容範囲内である。許容範囲内かどうかの見極めは、胸紐を結んだ後、少し動いてみると良く分かる。少し動いたとき衿崩れがなければ許容範囲内とする。
無理に胸を包むと何が起こるのか②
脇線に注目する。脇線とは脇縫いの縫い目がある部分のことである。
上半身は、胸を包めば包むほど、脇線が身体の真横から前側へズレる。このズレは衿崩れの原因になるので、前側へズレている場合は抱巾が足りないと判断する。
下半身は、胸を包めば包むほど、長襦袢の脇線が身体の前側へ向かって斜めになる。斜めになるのが通常だが、無理に胸を包んだ場合、後身頃が身体の前へ周りこむ分、後に窮屈さを感じる。この時も、長襦袢を着用した後、少し歩いてみると良い。歩いてみると窮屈な後に布が引っ張られ、着崩れが起こる。歩いてみても着崩れがなければ許容範囲内とする。
まとめ
この記事の最初に載せた写真(下写真も同じ)は、胸を包む衿合わせができるよう抱巾や前巾を通常よりも広くして仕立てた長襦袢。上に載せた白い長襦袢の着用写真と比較すると一目瞭然。脇に布のたるみがないので着崩れはしない。ちなみにいつも衣紋抜きは使用しないし、コーリンベルトも使用しなし。
長襦袢の寸法は、着物の寸法から簡単に割り出すことも多い。しかし、長襦袢の寸法こそ“自分がどう着たいのか”に合わせて割り出さなければ着崩れに直結する。長襦袢の着崩れは着物の崩れに繋がるため最小限に留めたいもの。ぜひ長襦袢こそこだわった寸法で誂えることを考えてほしいと思う。
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