子どもの着物は何年着られるのか?!

子どもに着物を誂えてあげたいと思った時、その着物を何年着られるのか気になるところだと思います。ここでは、実体験も踏まえて着用可能な年数をお伝えしたい思います。

子ども用の着物は調整可能

子どもの着物は、成長に合わせて調整できるよう、身丈と裄がとても大きくできています。調整は、肩上げ・腰上げでその都度調整をし、少なくとも2年は着られるように仕立てます。

子ども用で仕立てるのは何歳までか

小学生の間は子ども用で仕立てる、と言うのが一般的ですが、小学6年生ともなると大人と変わらないぐらい身長の高い子もいます。私の場合は、小学4年生までは子ども用で仕立てる、小学5年生以降はその子の雰囲気に合わせる、ようにしています。

身丈について

まだまだ身長が伸びる成長期にある場合、私は「身丈=着丈+1尺程度」で仕立てています。

例えば、子どもが5歳、身長110cmだとします。
この場合、身丈は3尺1寸5分程度(119cm)で仕立てます。

男の子の場合:
「着丈=身長−24cm」とすると、119cm+24cm=143cm、つまり身長143cmになるまで着用可能となります。身長143cmは、だいたい10歳〜11歳ぐいらいです。計算上は5歳〜10歳まで着用可能となりますが、実際に10歳でも着られるかどうかは子どもの成長と着用シーンによって変わります。

女の子の場合:
女の子の場合は、必ずおはしょりが必要になるので、身丈=身長119cmとなるまでが着用可能範囲になります。身長119cmは、だいたい7歳ぐらいです。

着丈の測り方

着丈は着用する子どもの首の付け根から、足のくるぶしまでを測ります。この時のポイントは、身体の曲線に合わせて測ることです。

補足:身丈と着丈は別物なので注意です。

体験談

実際に、私の長男も肩上げ無し・腰上げ無しで、5歳の時仕立てた浴衣を10歳の時に着用しました。でもこのような着方ができるのは浴衣に限られていると感じています。しかもお出かけ用のおしゃれ浴衣ではなく、近所の夏祭りに行く時に着る浴衣です。

裄について

裄も身丈と同様に、まだまだ身長が伸びる成長期にある場合、私は「裄=実際の裄+2寸5分程度」で仕立てています。

例えば、子どもが5歳、身長110cmの場合
裄は1尺4寸5分程度(55cm)で仕立てます。

5歳の場合、標準的な肩上げ後の裄は、1尺2寸(45.5cm)です。
つまり、腕の長さがあと10cm長くなるまで着用可能となります。

裄の考え方は、男女共に同じです。変わりはありません。

体験談

身丈と同様に、10歳で肩上げ無しで着用しましたが、やはり浴衣などの普段着の時のみ許されるラフな着姿になります。礼装となる肩上げができる分の余裕は残しておきたいと感じています。*肩上げができる分の余裕: 理想は1寸程度。

身丈・裄以外の寸法について

身丈と裄は、いくつの寸法で仕立てるのか吟味しますが、それ以外の寸法は案外ざっくりとしています。5歳で身長110cmならこの寸法、のような標準寸法で仕立てます。これまでの経験ではこの方法で困ったことがないので、多くの場合は標準寸法で問題ないと思っています。

まとめ

長男が4年生の時、結婚式のお呼ばれがあり色無地を仕立てました。仕立て寸法は、その時の身長に合わせて身丈は「着丈+1尺」です。その後、毎年のように結婚式があったので、その都度肩上げ・腰上げをし直して着用し、6年生の卒業式でも同じ色無地を着用しました。6年生の時は、肩上げがそろそろ限界かなと思う程度(全体で1寸長く、5分つまむ程度の肩上げ)でした。今後もまだまだ着用します。裄は大人と同じく、裄直しをすれば長くなります。身丈は、袴を履くことが多いので短くても問題ありません。長男の場合は、約4年間は確実に着用可能な着物になっています。子どもの成長具合に大きく左右されるので一概には言えませんが参考になると嬉しいです。

子どもの着物が仕立ててから何年着用可能なのか、下にまとめました。

礼装の場合:男女ともに2年程度、成長具合によっては3年目も着用可能
浴衣の場合:男児は限界まで着用するなら5年程度、綺麗に着るなら3年程度着用可能。女児は2年〜3年着用可能。

長男用に仕立てた色無地と着用姿です。共濃の羽織も一緒に仕立てました。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。