長襦袢は妥協せず気に入った色・柄・素材の物を購入することをお勧めします。なぜなら、素材が良いとそれだけで着心地が良く、色と柄が気に入った物であればさらに着ていて気分が良い物です。そして気に入っている物であれば長襦袢を長襦袢として終わらせるだけでなく、コートや羽織の裏地になり、着物の八掛になり、肩当てになり、かばんの裏地として、半衿にもなることができます。

長襦袢の生地
長襦袢の生地は、絹・綿・麻・ウール、反物で販売されているもの、広幅で販売されているもの、リユース、など色々ありますが、どれも購入するときは気に入った色・柄・素材を選ぶことをお勧めします。
長襦袢の反物の長さ
長襦袢の反物は、約12m〜13m。袷長襦袢を作ることができる長さです。
約13mの反物から袷長襦袢を作った場合、余り布はあまり残りませんが、
約13mの反物から単長襦袢を作った場合、袖一着分の余り布が残ります。
袖一着分の残布を使い、“うそつき袖”を作ることもできますし、コートや羽織の肩当てにすることもできます。
私の長襦袢活用法
まだ擦り切れるほどの着物着用歴はありませんが、こんな風に活用しています。
絹の長襦袢
“シャレ物”を呼ばれる長襦袢の場合の、余り布は単羽織や単コートの肩当てに使用。
着用した長襦袢は解いて、袷羽織や袷コートの裏地、袷着物の八掛など、いろいろな裏地に使用。
その他、柄半衿として使用、バッグや数奇屋袋など袋物の裏地としても使用できます。
擦り切れたら、腰紐にするのも良いと考えています。
下の写真は、長襦袢の生地を使用して羽織の裏地に使用した物。他にも仕立てあがりのリユース長襦袢を解いて羽裏(コートなどの裏地)にした物もあります。


麻の長襦袢
絹の長襦袢と同様に、袖一着分の余り布が出た場合は、替え袖(うそつき袖)に使用。
袖一着分を半分に裁断し、夏用半衿として使用。
下の写真の半衿は、麻の絽長襦袢の袖を半分に切った物を使用。

まとめ
長襦袢は、どの着物にも合う“万能”なものを選びがちかもしれませんが、気に入った素材・色・柄で選んで欲しいと思っています。良い素材の物を選べばその後の活用に使えます。気に入った色・柄の物を選べば、別の時に自分が選ぶコートや羽織の裏地として相性が良いでしょう。その後の活用が見えれば、“万能”ではなく“素敵”な長襦袢を選ぶことができると思います。
関連記事
-
和裁・着物コラム
仕立て屋が持つ美意識
着物の仕立て屋は全員が“綺麗に着物を仕立て上げたい”と思っています。これをもう少し噛み砕いて、仕立て屋が持つ“美意識”として考えてみました。 美意識を考える前に 前提として、当たり前に真っ直ぐ縫えて、針目もそろっていて、 […] -
和裁・着物コラム
直垂(ひたたれ)を仕立てました。
時代衣装「直垂(ひたたれ)」を本物の麻と染めで再び仕立てました。今回は歌舞伎などの衣装も手掛けている染め屋さんに生地の準備から染めまでお願いをし、出来上がりは衣装として間違いなく使える一枚になっていると思います。 今回仕 […] -
和裁・着物コラム
子どもの着物は何年着られるのか?!
子どもに着物を誂えてあげたいと思った時、その着物を何年着られるのか気になるところだと思います。ここでは、実体験も踏まえて着用可能な年数をお伝えしたい思います。 子ども用の着物は調整可能 子どもの着物は、成長に合わせて調整 […] -
和裁・着物コラム
長襦袢は妥協せず気に入った色・柄・素材を選ぶこと。
長襦袢は妥協せず気に入った色・柄・素材の物を購入することをお勧めします。なぜなら、素材が良いとそれだけで着心地が良く、色と柄が気に入った物であればさらに着ていて気分が良い物です。そして気に入っている物であれば長襦袢を長襦 […] -
和裁・着物コラム
着物で人生が楽しくなる仕立ての世界
私にとって「寸法」は、人生そのものです。なぜなら自分で自分の寸法を決めることで居心地の良い世界を作ることができるからです。 寸法=決まりごと 私はいつも着物の寸法について考えています。でもここでお話しする“寸法”は着物に […] -
和裁・着物コラム
1日15分チャレンジ !!毎日コツコツ1工程ずつ進め、23日目にコートが出来上がりました!
ありがたいことに仕立ての仕事が立て込み自分の物を縫うまとまった時間が取れなくなってしまったので、ここは切り替えて、毎日15分だけ自分の物を縫おうと 1日15分チャレンジ をしてみました。結果23日目に被布衿コートが仕上が […]