実は、歩きやすさと裾のシルエットに絶大な影響力と持っているのが 褄下 (つました) という寸法。
短すぎると衿先が沢山見えて見栄えが悪く
長すぎると風が吹いただけで上前が剥がれ常に裾が気になる状態
褄下丈 は、いくつが妥当なのか?考えてみました。
褄下 の標準寸法
褄下 の標準寸法は、身丈の半分。
身丈4尺3寸5分の場合、褄下丈は2尺1寸7分となる。
褄下 が短いと何が起こるのか?
下の写真は、褄下丈が標準よりも短い。
短いと、衿先がおはしょりよりも下にたくさん飛び出す。
これを 見栄えが悪い と感じるのかどうかは個人の自由だと思っている。
なぜなら少し短いほうが私は着心地が良いと感じているから。
褄下 が長いと何が起こるのか?
褄下 が長い場合、腰紐が衿先にかからない という問題が発生する。
下の写真は、おはしょりから衿先がほとんど見えていない。
着心地に違いはあるのか?
歩きやさ を優先するなら、 褄下 を標準寸法よりも少し長くする。
裾さばきが良くなるり大股の私も難なく歩くことができる。
ただ、風が良く吹いているときは、上前を手で押さえながら歩かなければいけない時もある。
例えば「茶道を習っています」というときは、褄下 を標準寸法より気持ち短めにする。
正座をした時、上前がきっちり足を覆っていてほしいからだ。
上前を巻いて着たとしても、褄下丈が長いとそうはいかない。
褄下 の妥当な長さ
褄下 の妥当な長さは、身丈の半分。
つまり標準寸法となるが、これは本当に妥当だと感じている。
これまで、標準寸法よりも8分短い物から、1寸5分長いものまで着用したが
どちらかというと褄下の長すぎる物の方が着心地が悪いと感じた。
なぜなら、どんなに着方を変えたとしても、上前がふわふわと浮いた感じがするからだ。
その浮いたところに風が入り必ず右手で押さえながら歩いていた。
また、この時指している身丈というのは、身丈=身長 というのも一つのポイント。
つまり、身長の半分が妥当だと私は考えている。
関連記事
-
寸法について
雨用では無いロング丈コートのシルエットが見たい!9分丈 道行コート を作りました。
着物の上に着る羽織物の中でも、一番初めに用意したいと思うのが「 道行コート 」今回は、ポリエステルの反物を使い9分丈の道行コートを作りました。一般的に丈の長いコートは雨ゴートに多い寸法ですが雨用では無いコートを長め着用す […] -
着物の寸法
着物寸法【基本】 身丈 の決め方
身丈 の決め方についてお伝えします。身丈には、(肩)身丈 と(背)身丈 の2種類があります。ここでは表記している身丈は、(背)身丈です。2つの身丈の違いは参考資料で確認することができます。 基本の 身丈 身長 = 身丈 […] -
寸法について
着物の身丈は、短いほうが良いのか?長いほうが良いのか?ー腰紐と身丈の関係ー
10月に仕立てたこげ茶のお召着物。実は、身長よりも短い 身丈 で仕立てました。「身丈は、身長よりも少し短いほうが着やすい」「身丈は、身長よりも少し長いほうが着やすい」私は、過去にそれぞれ別の方から上のアドバイスを頂きまし […]
その寸法を変えると着姿がどう変化するのかを解説しています。
着物寸法の基礎を知り、着姿から理想寸法を一緒に見つけましょう。
次回、2025年3月14日東京、2025年10月24日名古屋にて
着物の寸法講座を開催します。