羽織 に仕立て替えができる着物とできない着物。

着物の歴史のなかで“仕立て替え”と言うものは当たり前のことであり、仕立て屋も仕立て替えが出来るよう育てられています。
しかし、着物から 羽織 やコートに仕立て替えができる着物は限定されているのです。
ここでは、仕立て替えができる着物とそうでない着物を紹介します。

羽織
着物から仕立て替えた羽織着用

仕立て替えとは

着物として着用した後、解いて反物に戻し、羽織やコート、帯などに仕立て直すこと。
日本の文化のなかで布は非常に貴重な物で、豆粒大になるまで大切にされていました。

羽織 に仕立て替えできる着物とは

全ての着物が羽織に仕立て替えが可能だが、その着物がどんな柄なのかが問題になる。
柄に上下の無い物、無地、幾何学模様は問題なく仕立て替えが可能だ。
下の写真は、小紋着物として着用した後、羽織に仕立て替えた物。

羽織
#羽織_濃紺に桜

着物から羽織に仕立て替えた場合、必ず衿に継ぎ目が出る。(下写真)
しかし、あまり目立つものでは無く仕上がりも綺麗だと言える。

赤色の丸部分に継ぎ目がある。

羽織 に仕立て替えできない着物とは

柄に上下の向きががある物、身頃と袖などに渡って柄の繋がりがある物、3つ以上の家紋が入っている物は、基本的に仕立て替えができない。
つまり、附下げ・訪問着・留袖などがそれにあたる。

できない理由は3つ。

・仕立て替えにより、柄が途中で切れてしまう
・仕立て替えにより、柄の向きが逆になる
・仕立て替えにより、柄の繋がりが無くなる

訪問着
例えはこのような訪問着は、羽織に仕立て替えられない。

仕立て替えできない着物を、仕立て替え可能にさせるためには

・柄をよくよく選ぶこと
留袖は柄の大きさや位置が固定されているが、附下げや訪問着は軽めの柄から重めの柄まで様々な物がある。その中には羽織に仕立て替えができる物もある。例えば、衿に柄のない附下げは通常の方法で羽織に仕立て替えることができる。

・仕立て方を変える
留袖から羽織に仕立て替える場合によく言われていることは、肩山で継ぐ方法。この方法で仕立て替えをすれば、全てのことが解決するかもしれない。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。