着物の寸法から長襦袢の寸法を割り出す、が通例ですが、本当にその長襦袢着心地良いですか?長襦袢こそ着心地の良い物を着用して欲しいと思っています。

長襦袢の寸法とは
「長襦袢の寸法は、着物の寸法を基準に決める」と言うのが通例です。これが当たり前で当然のように私も思っていました。でもこの方法だと、私の場合、着心地の良い長襦袢にはなりません。だから、その割り出し方を工夫して基本とは違う寸法で長襦袢を仕立てて着用しています。これってちょっと可笑しなことだと思いませんか?割り出し方を工夫するぐらいなら、はじめから長襦袢の寸法を単独で決めてしまえば良いのではないか、と最近考えています。
着心地の良い長襦袢とは
私にとって着心地の良い長襦袢とは、胸の下に布のたるみが無く、布の中で身体が動く長襦袢です。
下の写真のように、身八つ口がこちら側へ飛び出していますが、このたるみが無い長襦袢が好みです。加えて、長襦袢の中で上半身が動くぐらいゆったりしたサイズだと心地良いと感じます。
私は上衣の心地良さを求めていますが、下衣の心地良さを求めている方もいます。人により、心地良い長襦袢のあり方は色々であり、その心地良さは自分で見つけるしかないと思っています。またその心地良さは経年変化するものだと思っています。

長襦袢さえ心地良ければ全て良し
着物を着ていて肩が凝る時は、大抵の場合長襦袢の着方に原因があります。長襦袢が上手く着られているのか、心地良く着られているのかがポイントです。「上手く着る」とは、シワなく着ることではありません。動きやすい着方になっているのか、一日中着ていても疲れない着方になっているのか、と言うことです。長襦袢さえ心地良く着ることができていれば、着物はその上に沿わすだけ。一日中、心地良く着物でいられます。
長襦袢こそ誂えるのが理想
長襦袢こそ自分に合ったサイズで誂えることを強くお勧めしたいと思っています。
一番身体に近い部分で着用するため、サイズのあっていない長襦袢を着ると、それをなんとか修正しようと身体が頑張ります。無意識に色々な筋肉を使うことになると思うのですが、それがとても疲れます。ある本にこんなことが書いてありました。
洋服でもそうだが、体力がある若い人は多少の素材の悪さも気にしないで着ることができる。だけど、歳をとると着心地重視になる。
「着物が欲しい」群ようこ著
この本では、素材について触れていますが、仕立て寸法でも同じことが言えると思います。自分に合っていない寸法の長襦袢を着るといことは、体力のいることです。
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