「合褄巾」と「 抱巾 」の両方を付けて仕立てた大島紬。
この2つの寸法は、平面の着物を丸みのある身体に上手く纏わせるための工夫だと考えています。
これまで、抱巾 は前巾と同寸で仕立ててきましたが
この着物から抱巾を付けてみることにしました。
大島紬の仕立て寸法はこちら
>>> 抱巾も合褄巾も、両方付けた方が着心地が良いのではないか?!手織り本場大島紬を仕立てました。
脇線が真っ直ぐに落ちる
着物は、身体に纏わせると自然と布が斜めになり
その影響は裾や褄先に現れていて、深く巻き付けるほど
褄先が上がるのはその結果。
特に、着用後の左側の脇線は膝下あたりから正面へ向かって斜めに曲がる着物は
布を歪ませて纏っている感覚に、違和感を感じていた。
合褄巾と 抱巾 を付けたことで、左側の脇線は裾までキッチリ真っ直ぐに落ちる
衝撃的な感動を味わい、裾のねじれがない着物は、心地良い。
裾がめくれない
褄下丈を長く仕立てた着物は、風のつい良い日には上前がめくれてしまうのが気になるところ。
上前の裾が開くのには、褄下丈が関係しているが
今回は合褄巾と 抱巾 の両方を付けたことが良かったのか、裾がめくれることなかった。
感覚的な話、太もも周りの上前身頃は、めくれる様子もなく足に沿ってくっついてくれている。
安心感と安定感がとても良かった。
“膝下だけで裾が開く”
とても良いと感じた。
経糸を何本も絡ませて縫うこと
合褄巾と 抱巾 を付けず、真っ直ぐに縫うとき、経糸1本を合わせて縫うのに対し
合褄巾と 抱巾 を付けて縫うときは、斜めに縫うため、経糸を何本も絡ませるように縫うことになる。
そうすることで、力はより遠くまで伝わり「裾が広がらない」につながると考える。
裾が広がらないようにするためには、褄下丈の影響もあるが
合褄巾と 抱巾 も同じくらい影響力があるように思えた。
まとめ
合褄巾と 抱巾 を付けた仕立ては、着心地が良い。
褄先を上げようとせず、ただ身体にまとわせる。それだけで上手く布が身体に沿ってくれると感じた。
その寸法を変えると着姿がどう変化するのかを解説しています。
着物寸法の基礎を知り、着姿から理想寸法を一緒に見つけましょう。
次回、2025年3月14日東京、2025年10月24日名古屋にて
着物の寸法講座を開催します。