温泉旅館の浴衣は、なぜ衣紋が抜けないのか?! なぜ 着心地が悪い と感じるのか?!

温泉旅館の定番「浴衣」
上手く着られない、なんとも 着心地が悪い と感じるのは私だけだろうか。

  • 衣紋が抜けない
  • 衿合わせがシャープになる
  • 裾周りがはだける
  • なんだか着心地が悪い など…

結局、就寝前には持参したパジャマに着替えるのだが・・・
なぜ着心地が悪いと感じるのか、考えてみた。

着心地が悪い と感じる瞬間とは?

着心地が悪いと感じる部分を挙げてみた。

  • 衣紋が抜けない
  • 衿合わせがシャープになる
  • 裾がはだける
  • 帯が緩む など。

こうして挙げてみると良いところがないように感じるが
決して温泉旅館の浴衣が嫌いという訳では無い。

むしろ、こうした浴衣を着て、それなりの格好で楽しんでいることを
はじめに断っておきたい。

なぜ、衣紋が抜けないのか

旅館の浴衣を着るとき、衣紋を抜いて着ようとしたことはありますか?
私はいつも試みていました。しかし、衣紋を抜くことは絶対に出来ません。

その理由は3つ。
①身八つ口が空いていない
②繰越が付いていない
③対丈である

旅館の浴衣は、女性用も男性用浴衣の作りになっていて
身八つ口が付いていない。
つまり洋服と同じように筒袖が身頃に付いている。

身八つ口が無く、袖付けによって前後の身頃が固定されているため
衣紋を抜こうと頑張っても、固定された位置を動かすことはできない。
だから衣紋は抜けない。

次に、身八つ口が無くても、繰越が付いていれば
衣紋が抜けている風に着ることが出来える。
しかし、繰越がついていないため、男性的な着方にしか収まらない。

そして対丈であることで、より前後の布移動はしずらい着物となっている。

なぜ、衿合わせがシャープになるのか

衣紋が抜けないと言うことは、浴衣の肩山が背中側へ移動することが無いということである。

肩山の移動が無ければ、衿合わせは仕立てた衿の角度になる。
浴衣を衣紋掛けに吊るしてみると分かるが、シャープにしかなり得ないのである。

繰越1寸5分の着物:着物の肩山が身体の肩山に乗った状態で着ているので、衿合わせがシャープになっている。

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なぜ、裾周りがはだけるのか

簡単に言うと旅館の浴衣は男性用浴衣と同じ作りになっている。
裾周りが“はだける”理由の一つは、身巾が狭いことにある。

男性の浴衣を誂える場合、女性と同じヒップ寸法だとしても
身巾の仕立て寸法は女物よりも広くする。

それに比べ旅館の浴衣は、サイズの割に身巾が狭いうように感じた。
単純にワンサイズ大きな物を着れば解決するのか、試してはいないが、それも良いだろう。

まとめ

温泉旅館の浴衣は、なんとも 着心地が悪い。
しかし男性用浴衣を着ていると考えれば、着心地の悪さに抵抗することなく着用できる。
そして、その着心地をも楽しむことができるかもしれない。

温泉旅館の浴衣は、着心地の悪さを気にするよりも
何よりも、浴衣を着て、その温泉と時間を楽しむことが一番であると考える。

この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。