「 衣紋を抜くと背中が見える 」は、繰越を小さくすれば解決するのか?!

衣紋を抜くと背中が見える と気になった事はないだろうか。

階段を降りている時、坂道を下っている時、斜め上から衿元を見た時
決して衣紋をたくさん抜いている訳では無いのに、背中が見えるのはなぜか?!

繰越寸法が良くないのか?!
肩明きが良くないのか?!
着方が良くないのか?!

衣紋を抜くと背中が見える について考えてみた。

衣紋を抜くと背中が見える
着物

衣紋を抜くと背中が見える

衣紋をたくさん抜けば、背中が見えるのは当然だが
衣紋をたくさん抜いてい無いのに、背中が見えるのはなぜだろうか。

縦方向に現れる背中では無く、横方向に現れる背中は
仕立てが悪いのか、着方が悪いのか
今回ようやく納得のいく答えを見つけるいことができた。

個人的な好みとして、繰越は小さめの着物を好んで仕立てている。
繰越0〜繰越1寸5分まで、様々な着物を仕立てて着用したが、
原因は繰越寸法ではない という事を伝えたい。

これは、横方向に背中が見える原因に限る。

繰越0・肩明き2寸3分:背中が見えることが無い着物

背中が見える原因

衣紋をたくさん抜いていないにもかかわらず、横方向に背中が見える原因は4つ。

  • 肩明きの切り方
  • 衿のつけ込み
  • 繰越
  • 着方

今回は、1.肩明きの切り方 についてのみ考える。

肩明きの切り方は大きく分けて2パターン。
・直線で切る
・カーブで切る

肩明きの大きさは、首の太さを基にしているが
着物を着た時その肩明きの位置は、首よりも後側にある。

これが、背中が見える原因だ。

直線で肩明きを切れば、その分、衿元の空間は横長になる。
一方、カーブで肩明きを切ると、衿元の空間が縦長になり、背中が現れにくくなる。

肩明きの切り方と衿元



肩明きの切り方だけが原因ではない

肩明きの切り方以外すべて同じ条件だった場合、背中が見える原因は肩明きの切り方だと断言できるが、決してこの切り方だけが原因ではない。

また、肩明きの切り方を変えず、他の寸法を変えることで解決することも十分に可能だ。

衿の後姿を変えるためには
・肩明きの寸法
・肩明きの切り方
・衿の付け込み寸法
・繰越寸法
この4つが密接に関わり合っている。

まとめ

衣紋を抜くと背中が見える原因の一つは、「肩明きの切り方」にあると断言する。

肩明きの切り方には、さまざまな考え方があり
直線で切る場合も、カーブで切る場合も、どちらにもメリットとデメリットがある。

10年前、大先生から言われた言葉「肩明きは、カーブで切った方が、衿は綺麗だ。」の真意はどこにあるのか、ずっと探していた。今回その意味が少し分かった気がする。

関連記事

\プロの方にたくさんご受講いただてます!/
この講座では、着物を仕立てるために必要な全ての寸法について標準寸法をお伝えし
その寸法を変えると着姿がどう変化するのかを解説しています。
着物寸法の基礎を知り、着姿から理想寸法を一緒に見つけましょう。
次回、2025年3月14日東京、2025年10月24日名古屋にて
着物の寸法講座を開催します。

この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。