羽織 の寸法出しは別格に面白い!

羽織 は防寒の意味でしか着用してこなかった私が、2022年羽織をテーマにし、各季節2枚ずつ年間8枚の羽織を仕立て着用したことで、羽織の楽しさに気づくことができました。この時感じた楽しさは、羽織コーディネートの楽しさだけではなく、たった1つの理想寸法を追い求める面白さに魅了されていたのかもしれません。

羽織 夏お召し

理想寸法に幅がある着物と、理想寸法が1つしかない 羽織

理想寸法とは、自分の体型や着方にあった寸法のことを私は「理想寸法」と定義している。
この理想寸法は、着物や長襦袢の場合はある程度の幅があり、どのように着るのか、その時に気分や目的で着用シルエットを変えることができる。しかし、羽織の場合は着用の仕方で理想のシルエットを作ることはできない。着方でなんとかしようとするのは、ほぼ100%不可能である。羽織を格好良く着たいと思った時、その理想寸法は1つしか存在しない。

羽織 の理想寸法が1つしか存在しない理由

羽織の着用は、身体を包むように纏うわけではなく、ただ肩に乗せ袖を通し羽織紐を結んで終わり、という非常に手間のかからない簡単な衣類である。つまり、格好良く着たいと願っても、腰紐も無ければおはしょりも無く内紐も無いため、後からどうこう出来る物では無い。だからこそ、着物の着方にあった羽織寸法が必要になる。

羽織 は肩に乗せた時点で完成形でなければならない

羽織の完成形は、理想のシルエットとして私は次の3つを満たすことを目指している。

  1. 衿が地面に向かって真っ直ぐに落ちていること
  2. 裾周りが身体から離れすぎていないこと
  3. 裾が地面と並行であること

羽織を肩に乗せた時点でこの3つ全てを満たす寸法を羽織の理想寸法としている。
満たすことができない寸法で仕立てた時、衿が反り返る・裾が広がる・背中心が突き出すなど、広がったシルエットになる。

羽織 羽二重

たった1つの理想寸法を導き出すことが面白い

理想寸法に幅がある着物寸法は、攻めた寸法(思い切った寸法)で仕立てても着用できる点が面白い。
逆に理想寸法が1つしかない羽織は、たった1つのベストを導き出す点が非常に面白い。

“たった1つのベスト”は、体型と着物の着方で大きく変わる。
同じ体型でも着物の着方が違うと、一方にはベストで素晴らしく格好良い羽織でも、もう一方にはシルエットの崩れた最悪の羽織になる。共有という考えが一才無いのが羽織であり、その寸法出しは別格で面白い。

どうやって 羽織 の理想寸法を導き出すのか

チェックポイントは1つ。
自分の羽織着用姿を見た時、羽織の裾は地面と並行になっているのか?

並行になっていれば、身巾を調整するだけでシルエットは格段に良くなる。
並行になっていなければ、まずは並行になるよう着物の着方を変える、もしくは、羽織の繰越寸法を変える。

羽織は理想のシルエットが目に見えて分かり易い。
どの寸法をどう変えれば理想に近づくのか「羽織の寸法講座」にご参加いただくとすぐにでも分かるようになる。

羽織の寸法講座にぜひご参加ください

KOTAROでは、羽織の寸法講座を年に2回ほど対面でのグループ開催でのみ開催している。
たった1つの理想を追い求める羽織寸法の楽しさをぜひ多くに人と共有したい。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。