長襦袢9枚×3パターンの着用を写真に収めました。

昨年(2023年)は「長襦袢」をテーマに色々な寸法で9枚の長襦袢を仕立てました。
この9枚の着用画像を、①衣紋を抜かずに着用した場合、②衣紋を適度に縫いて着用した場合、③衣紋をたくさん縫いて着用した場合、の各長襦袢3パターンの写真をプロのカメラマンに撮ってもらいました。

ここでは、そのうちの5枚の長襦袢について
①紋を抜かずに着用した場合、と、③衣紋をたくさん抜いた場合、の写真を紹介したいと思います。

繰越3分・抱巾通しの長襦袢

繰越3分・抱巾通しで仕立てたグレー格子の長襦袢
前巾7寸5分:標準とされている「着物の前巾+1寸」で仕立ててある。

▼詳しい仕立て寸法はこちら
>>>基本の形はコレ!グレー格子の 長襦袢 を仕立てました。

衣紋を抜かずに着用した場合
衣紋をたくさん抜いて着用した場合

繰越3分・抱巾有り・前巾広めの長襦袢

繰越3分・抱巾有り・前巾広めで仕立てた松葉模様の長襦袢
前巾8寸・抱巾7寸6分:前巾は標準よりも5分広く、抱巾との差は標準の4分差で仕立ててある。

▼詳しい仕立て寸法はこちら
>>> 前巾が大きすぎる 長襦袢 は着ることができないのか?! 松葉柄の長襦袢を仕立てました。

衣紋を抜かずに着用した場合
衣紋をたくさん抜いて着用した場合

繰越0・抱巾有りの長襦袢

繰越0・抱巾をたくさん付けて仕立てたあさみさんの長襦袢
前巾8寸2分・抱巾7寸:通常の3倍の差を付けて仕立ててある。

▼詳しい仕立て寸法はこちら
>>> 長襦袢に抱巾は必須なのか?!“あさみ”さんの 長襦袢 を仕立てました。

衣紋を抜かずに着用した場合
衣紋をたくさん抜いて着用した場合

繰越3分・竪衿無しの長襦袢

繰越3分・竪衿無しで仕立てた絽麻の長襦袢
竪衿無しのため、前巾は反物巾いっぱいで仕立ててある。

▼詳しい仕立て寸法はこちら
>>> 竪衿が無い長襦袢は作れないのか?! 竪衿無しの 長襦袢 を仕立てました。

衣紋を抜かずに着用した場合
衣紋をたくさん抜いて着用した場合

繰越1寸5分・抱巾有りの長襦袢

繰越1寸5分・抱巾有りで仕立てた鳥獣戯画の長襦袢
前巾8寸・抱巾6寸8分:通常の3倍の差を付けて仕立ててある。

▼詳しい仕立て寸法はこちら
>>> 衣紋が抜けない原因は繰越寸法にある。繰越1寸5分の 長襦袢 を仕立てました。

衣紋を抜かずに着用した場合
衣紋をたくさん抜いて着用した場合

比較写真から分かること

どの長襦袢も共通して下のようなことが言える。

  • 衣紋を抜かずに着用すると、衿が立つ
  • 衣紋を抜かずに着用すると、脇の布は横方向にたるむ
  • 衣紋を抜かずに着用すると、肩巾が広く見える
  • 衣紋を抜かずに着用すると、裄が短くなる

  • 衣紋をたくさん抜いて着用すると、衿が寝る
  • 衣紋をたくさん抜いて着用すると、脇の布は縦方向のたるむ
  • 衣紋をたくさん抜いて着用すると、型巾を狭く見せることができる
  • 衣紋をたくさん抜いて着用すると、裄を長く見せることができる

まとめ

鈍角な衿合わせで着用したい場合と基本の衿合わせの角度で着用したい場合は、衣紋を抜いて着用することで胸まわりの布が身体に添いやすくなることが分かる。衣紋を抜かないと、鎖骨から胸紐までの間に、布が横方向にたるむ。横方向のたるみは、空気が入り身体を動かすたびに布が動き、着崩れにつながると考える。衣紋を抜くと、布が縦方向にたるみ、身体を動かすためのゆるみとして良い働きをしてくれると考える。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。