裄 を長くしたいと思った時、単純に裄の寸法を長くして仕立てるという選択肢と、着方で長く見せるという2つの選択肢があります。簡単なのはもしかすると前者の「裄の寸法を長くする」かもしれませんが、私がお勧めするのは、後者の「着方で長く見せる」方です。
着方で 裄 を長くみせる方法
①首から衿を離して着る
下の写真は、首から衿を離して着用することで裄を長く見せている。
手首のくるぶしが隠れるほどの長さになっていて“長い”のが分かると思う。
裄の仕立て寸法は、1尺8寸。
②衣紋をたくさん抜く
衣紋をたくさん抜くことで裄を長く見せることもできる。
下の写真は、上の写真ほど首から衿は離れていないが、手首が隠れるほどの長さになっているのが分かる。
裄の仕立て寸法は、同じく、1尺8寸。
通常の着姿
普通に着ると下の写真のように、少し手首が出る。
裄の仕立て寸法は、同じく、1尺8寸
まとめ
長めの裄を希望する方が多いかもしれないが、反物巾が広くならない以上、仕立てで裄を長くするには限界がある。着方を工夫することで裄を長く見せることができるため、ぜひ着物を着るときに一手間かけていただけると仕立て屋としても嬉しい。なぜなら、仕立てで裄を長くすればするほど、袖巾と肩巾のバランス、肩巾と後巾のバランス、後巾と前巾のバランスなど、いろいろなバランス調整が必要となり、裄だけが理想寸法で、その他の寸法は裄の理想を叶えるための寸法になってしまうからだ。仕立てと着方の両方で理想の着姿を作りたいと考えている。
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