着物の標準寸法は、時代とともにちゃんと変化していると言えるのか。

着物の標準寸法は明治時代からさほど変わっていないように感じています。身丈や裄は大きくなりましたが、それ以外の寸法は同じようなものに感じています。今回は私が所有する資料からいくつかの寸法を比較して見ました。

寸法の比較

明治〜現在までの標準寸法を表にしてみました。昭和初期のデータがなく残念ですが、各寸法の大まかな流れが分かるのではないかと思います。ここで注目したい点は、各寸法が本当にその時代の平均と信じて良いのかではなく、時代と共に寸法が全体的に大きくなっていると言う点です。

明治12年明治38年昭和55年平成2年現在
身丈3尺9寸4尺4尺1寸4尺1寸4尺3寸
1尺6寸5分1尺6寸5分1尺7寸1尺6寸5分1尺7寸8分
袖巾8寸8寸5分8寸7分8寸5分9寸
肩巾8寸5分8寸8寸3分8寸8寸8分
袖丈1尺4寸1尺5寸1尺3寸〜1尺4寸1尺3寸1尺3寸
前巾6寸6寸6寸6寸6寸3分
後巾7寸5分7寸5分7寸7分7寸5分7寸8分
褄下1尺9寸2尺5分2尺5分2尺1寸5分
繰越無し無し5分5分〜7分5分〜8分

単純に全ての寸法を大きくしても良いのか

時代と共に寸法全体が大きくなってきていることは、日本人の平均身長や体型の変化に伴うものと考えることができ、この変化は妥当だと思っています。ただひとつ繰越寸法だけは大きくなり過ぎない方が良いのではないかと感じています。繰越という寸法が元々無かったところから始まり、現在は8分程度が標準になってきています。繰越寸法0→5分への変化は着物の着方の変化に伴うものだと考えます。繰越寸法5分→8分への変化は、着方の変化に加えて、身長や体型が大きくなるについれて身体の厚みもある程度厚くなっていることが考慮されているのではと考えます。ただここで私が感じていることは、繰越の標準寸法は5分のままにしておく方が良いのではないかという点です。

標準寸法や目安の寸法について思うこと

標準寸法や目安の寸法は、とてもざっくりとした、全体の平均値であるものの、はじめて着物を誂える人にとっては寸法を決める上で重要な指標になるものだと思っています。標準寸法と自分が今から誂える着物の寸法とを見比べたり、良くわからない寸法は標準寸法で決めてしまうことがあるのではないでしょうか。着物を誂えるとき“良くわからないから標準で”決めてしまうのはとてももったいないと感じています。着物を誂えるということは、フルオーダーということであり、仕立て寸法の自由度高く、自分の好きなように決めることができます。その利点をぜひフル活用してほしいと思っています。

まとめ

標準寸法は時代とともにちゃんと変化している、と言えます。そして、はじめて着物を誂えるときの指標として、仕立て上がりの着物を購入するときの指標として活用できるものです。ただ着物を誂えるときは、ぜひ自分が心地良くなるだろうと言う寸法でお願いしてみてください。着物を着るときの小さなストレス、あと少しこうなったらいいのに、とか、この着物はこうだから、とか、ほんの少しのストレスを仕立てで解決できる場合があります。ぜひ誂えるときは、ほんの小さなストレスにも目を向け、わからない寸法にも目を向け、少しわがままになり要望を仕立て寸法に落とし込みましょう。そうやって厚えた着物はとても着心地が良く、着物を着ることがとより楽しくなると思います。

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