“ 着姿から割り出す寸法 ”を考える前にするべきこと

KOTAROでは、 着姿に合わせた寸法で仕立てた着物を着ることを大切にしていますが、その前に、やるべきこと・考えるべきこと・感じておくべきことなどがあります。ここでは、 着姿から割り出す寸法 を考える前に、しておいた方が良いと思うことを書きました。

着姿から割り出す寸法 を考える前にするべきこと

KOTAROでは着姿に合わせた寸法にすることを大切にしているが、その前にやるべきこと・考えておくべきこと・感じておくべきことなどを書き出してみた。

《寸法を割り出す前に、しておいた方が良いこと・感じておいた方が良いと思うこと》

  • 着物を自分で着ること
  • 着物を自分で難な着られること
  • ”自分の身体に合った寸法”と言われている着物を着ていること
  • 着物の着方が定まっていること
  • 着姿の理想があること
  • 着物を着て出かけるという選択肢が持てていること

ここに挙げたことはそんなに難しいことではないと思う。単純に着物が着られるようになりたいと思った時、着る練習をして、着て出かける、という単純な行為ができているかどうかである。ポイントは、着せてもらうのでは無く、自分で着るというとことにある。

着物を自分で着ること

まずは着物を自分で着ることから始まると思う。
自分で着ることで、裾合わせの好みが現れ、衿合わせの好みが現れ、衣紋の抜き具合の好みが現れる。
自分で着ることで、腰紐の位置が気になったり、衿先の出具合が気になったり、細かな部分にまで目が行くようになる。
自分で着ることで、自分の着方と体型と着物について考えるようになる。
自分と着物の関係を考えるようになって始めて“着姿から割り出す寸法”につながる。

着物の着方が定まっていること

着物を自分で着ることができ、さらに着方が定まっているととても良い。
着方が定まっているというのはとても大きなメリットである。
なぜなら、明確な寸法のご提案ができるから。

一方で、着物の着方は年齢と共に変化する物だと思う。
年齢に限らず着物を何年も着ていると好みの着姿が変化するのも当然だ。この変化は、とても良い。ぜひ変化も含めて楽しんでもらいたい。

着姿から割り出す寸法を考える時、今後の変化は考えない。
今はこういう着姿が好き、こういう着姿になりたい、この布のたるみを減らしたい、ここに布のゆとりが欲しい、裾すぼまりにさせたい、ボディーコンシャスに着たい、ゆったり着たい、などなど
今の理想に合わせた寸法を割り出すことを大切にしている。

着物は仕立て直しが可能である。
今の理想に合わせた寸法にし、10年後、またその時の理想に合わせて仕立て直せば良い。10年に1度寸法を見直す、と言うぐらいの気持ちで今に向き合ってほしい。

標準寸法の着心地を知っておくこと

「”自分の身体に合った寸法”と言われている着物を着ていること」 とは、つまり自分の体型での標準寸法の着心地を知っておくこと。身長・ヒップ・バストのサイズから標準とされる着物寸法の着心地がどうなのか知っておくことが大切である。なぜなら、この標準寸法を基準に、着方に合わせて寸法を変えていくから。どこを基準に寸法を大きくしたり小さくしたりしているのかを分かっておくことが良いと思う。

着姿から寸法を割り出すのは、着物を自分で着られるようになってからでも遅くない

着姿から寸法を割り出すのは、自分で着物を着られるようになってからで良い。むしろ、それから考える方が良い。自分で着物を着て友達とご飯に出かけられるぐらいのことができるようになったら、着物の寸法について考えてみよう。より着やすい寸法、より布のたるみが少ない寸法、より衿合わせのしやすい寸法など、いろいろな寸法がある。

着物の寸法を変えるのは、自分で着物を着られるようになってからで良い。
自分で着物を着られるようになってから誂えるなら、自分の着姿に合わせた寸法にすることをおすすめするが、それまでは、標準寸法と言われる寸法で良い。まずは着ることが大切である。

標準寸法で仕立てた着物を着用(2020年撮影)

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。