着物の上に着るコートの種類

着物の上に着るコートの種類を写真とともに紹介します。今回は、反物から仕立てるコートの形を紹介します。冬は防寒用に着用しますが、素材を変えて春夏秋はチリ避けとして着用できます。雨コートも下に紹介する形で作ることができます。色々な素材や形のコートを持っていると、その日の気分で着物を選ぶことができ、手持ちのコートに縛られることなくコーディネートを楽しむことができ、より着物を楽しむことができると感じています。

道行コート

道行コートは一番格が高く礼装用にも着用できる、正式な形とされています。
素材を変えることで普段着用になったり、礼装用になったりします。透ける生地で作れば夏用にもなります。下の写真は、結城紬で仕立てた道行コートです。素材が紬なので普段着用として着用しています。

結城紬で仕立てた道行コート

道中着

衿が裾から反対側の裾まで一続きになっているのが特徴です。
衿合わせが浅く、前身頃の重なりも浅い、縦長のシルエットが特徴のコートです。
素材を変えることとで、夏用、冬用、お出かけ用、普段着用と色々便利に使えるコートの一つです。下の写真は麻の生地で仕立てた道中着です。木綿着物の上に羽織るならこんな素材かなと思って仕立てたコートです。

麻生地で仕立てた道中着

着物衿コート

竪衿(衽の様な部分)に別衿が付いている形のコートです。
前身頃を深く合わせて着用したい時に適した形です。もちろん、仕立て寸法を調整することで前身頃の重なりを浅くした着物衿コートを仕立てることも可能です。ロング丈と相性が良い形です。

透ける生地で仕立てた着物衿コート
雨コート生地で仕立てた着物衿コート

被布衿コート

「被布」と言う羽織物の衿をコートに付けた形です。
セーラー衿の様に正面から後に向かって反り返った衿が付いています。衿の大きさは、好みで変えることができます。私は、どちらかと言うと可愛い印象を持っています。「被布」と「被布衿コート」は別物です。

結城縮で仕立てた被布衿コート(前姿)
結城縮で仕立てた被布衿コート(後姿)

菱衿コート

道行コートの衿の角度を変形させたコートです。
菱衿コートは今後自分用にも仕立てる予定なので、仕立て上がったら写真を載せたいと思います。今回は仮縫いの菱衿コートの写真を載せておきます。

まとめ

今回は反物から仕立てるコートの種類を紹介しました。新しい反物からコートを仕立てることはもちろんですが、手持ちの着物をコートに仕立て替えることもできます。またリユース着物を購入し、コートに仕立て替えることもできます。コートを誂えることは、着物に比べてどうしても後回しになりがちですが、色々な手段があるので、ぜひ気に入った生地で楽しんで欲しいなと思っています。個人的には今年色々なコートを仕立てたことで、着物を着る時の楽しみが増えました。コートからコーディネートを決めることも多くなりました。

その他のコートについて:
上に紹介したコートの他に、千代田衿コート、ヘチマ衿コート、都衿コートなども反物から仕立てることができます。その他、カシミヤやウールのコートなどもありますが、洋服生地から作るコートは専門外なのでここには含めませんでした。でもやはり暖かさはカシミヤやウールが勝ちですね。私も真冬はウールを着ています。

関連記事

\プロの方にたくさんご受講いただてます!/
この講座では、着物を仕立てるために必要な全ての寸法について標準寸法をお伝えし
その寸法を変えると着姿がどう変化するのかを解説しています。
着物寸法の基礎を知り、着姿から理想寸法を一緒に見つけましょう。
次回2026年3月13日、東京にて講座を開催します。

この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。