縫い方が分かれば、寸法の全てが分かる。

KOTAROでは、M KIMONO オンライン和裁教室 を運営しています。今月は着物の縫い方動画を充実させようと力を注いでいるのですが、なぜ縫い方を学ぶことに力を注いでいるのか、解説したいと思います。

縫い方を知る意味

①仕立てのルール知ると、寸法のルールが分かる

仕立てのルールとは、縫う順番や布の重なる順番、縫い代の処理方法などを指している。仕立てのルールを知ると、なぜ前巾が後巾よりも狭いのかが分かるようになる。

②縫うラインを知ると、寸法の変わり目が分かる

“着物は直線で出来ている”と言われるが、直線は直線でも、途中から角度がつき斜めに縫ったりする。縫うラインを知ることは、どこまで同じ寸法で縫っているのかを知ることになる。どこまで真っ直ぐ縫い、どこから角度が付くのか。ここで寸法がきまる。

③縫い代がどう処理されているのかを知ると、寸法の限界値が分かる

着物は縫い代を切り落とさない。だからこそ、縫い代の処理方法まで知る必要がある。縫い代がうまく処理できる限界を知ることで、寸法の限界値を自分で見つけることができる。

まずは、“基本の縫い方”を知ること

オンライン和裁教室では基本の縫い方を伝えている。ここで言う基本の縫い方とは、“標準寸法の縫い方”を指している。
標準寸法は、すごく上手く出来ている。この標準寸法の良さを最大限に感じられるのが縫う時である。
まずは標準寸法の縫い方を知り、標準寸法の着心地を確認する。全てはここから始まる。

寸法を知るためには

着物は前身頃から後身頃まで一枚の布で繋がっていることを理解することが大事である。
一枚の布の中に、前巾・抱巾・後巾・肩巾、と4つの寸法が同時に存在する。この4つの寸法が、どんな状態で存在しているのかを考えると寸法が分かる。

つまり、どこまで同じ前巾で縫っていて、どこから抱巾に向かって斜めに縫っているのか。後巾は裾からどこまで同じ寸法で真っ直ぐに縫っているのか。縫い代はどんな状態なっているのか。

縫うラインを観察し、縫い代の状態をよく観察することで、寸法の可能性と限界値を見つけることができる。

寸法を変えるときに大切にしていること

寸法を変える時に私が大切にしていることは、基本のルールから外れないこと。
ルールの中で寸法を変え、縫い方を変える。これを守ることで着物というものから大きく離れることはない。あくまでも“どんな寸法でしたてるのか”という視点から和裁の可能性を確認したいと思っている。

まとめ

着物の縫い方が分かれば、寸法はどこまで変えられるのかが分かる。寸法の限界値を見るけることができる。寸法が変えられる範囲が分かれば、どう着たいのかにより、その範囲内で好きな寸法を選べば良い。つまり、寸法を知るためには、縫い方を知ることが大事なんだと分かる。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。