「抱巾がよく分からない」と良く言われますが、よく分からない原因は、仕立て上がった着物の抱巾の寸法を測ることと、仕立て屋が言う抱巾とでは少し意味合いが違い、認識のズレに原因があると思っています。ここでは仕立て上がった着物の“抱巾”を測る本当の意味をお伝えします。これを知ると抱巾について理解が進むかもしれません。
抱巾とは
抱巾とは、前身頃の剣先の位置での巾です。
仕立て上がった着物の抱巾を測るとき、注意する点は、剣先から脇線の延長までの長さを測る事です。
参考記事>>> 着物寸法【基本】抱巾

仕立て上がった着物の抱巾から得たい情報
仕立て上がった着物の抱巾を測る意味は、裾で測る前巾と差があるのかどうかを知るためです。差がある場合は「抱巾が付いている」、差が無い場合は「抱巾は付いていない(通し)」となります。仕立てに必要な情報は、抱巾(剣先から脇線までの長さ)の具体的な数字ではありません。前巾と抱巾に差があるのか・無いのか、が必要な情報になります。差がある場合は、具体的に幾つの差があるのかが情報として欲しいところです。
「抱巾を付ける」「抱巾を付けない(通し)」
「抱巾を付ける」ということは、衽を身頃に縫い付けつるとき身頃側の縫うラインを斜めにして縫い付けていくことを指示しています。「抱巾を付けない」ということは、衽を身頃に縫い付けるとき身頃側は真っ直ぐに縫い付けていくことを示しています。仕立て屋は、衽と前身頃を縫い合わせるとき前身頃側はどのような角度で縫えば良いかに注力し、剣先から脇線の延長までの長さ(抱巾)は、縫い合わせた結果の数字、と考えています。
下の図左側の青いラインは抱巾を付けない場合、赤いラインは抱巾を付ける場合を表しています。
青いラインは裾から剣先に向かって真っ直ぐに、赤いラインは裾から剣先に向かって斜めになっているのが分かると思います。
下の図右側はそれぞれに衽を付けた時の図です。青色(抱巾を付けない)は衽が前身頃に対して直角に付いています。赤色(抱巾を付ける)は、衽が前身頃に対して斜めに付いています。

抱巾は付けた方が良いのか、付けない方が良いのか
抱巾を付けた方が良いのか・付けない方が良いのか、これはどんな風に着物を着たいのかで変わります。また着心地がとても違うため、着用する本人が着心地が良く着姿も納得できる方を選ぶのが最善です。単純な分け方として、シャープな衿合わせが好みの場合は抱巾を付ける、胸を覆うような衿合わせが好みの場合は抱巾を付けない、という風にオススメしていますが、前巾・後巾の寸法の兼ね合いもあるため一概には言えません。
自分はどちらが好みのかを知りたい場合は、どんな着物でも良いのでたくさん着用すると見つかる思います。着心地の良い着物が見つかった時、裾での前巾と抱巾を測ってみましょう。差があれば「抱巾が付いている方が好み」、差がなければ「抱巾が付いていない方が好み」と分かります。
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