2022年に仕立てた9分丈の道行コートのシルエットが気に入らず、今回仕立て直しました。
特に気に入らないのが裾周りのシルエット。竪衿の横に布が余り、ハの字に布がたるんでいます。今回はこのたるみを解消させるために寸法と縫い方を改善を行いました。
2022年に仕立てた道行コート(若松着画)
竪衿の横に上から下へ向かって斜めにシワが入り、裾周りには布が余っている。
衣紋の抜き具合を減らして着用すれば斜めのシワはなくなるかもしれないが、裾周りで余っている布は減らない。
歩いていたり、動いていれば気にならないかもしれないかもしれないが、どうしても許せず今回仕立て直した。
仕立て直す前のコート寸法
仕立て直す前にコート寸法は、着物寸法から標準の割り出し方で割り出した寸法になっている。
- 身丈 肩3尺5寸
- 裄 1尺8寸5分
- 袖巾 9寸5分
- 肩巾 9寸
- 袖丈 1尺2寸8分
- 袖付 6寸3分
- 前巾 5寸3分
- 後巾 7寸8分(裾7寸6分)
- 竪衿巾 4寸
- 竪衿下り 肩5寸5分
- 肩明き 2寸5分
- 繰越 1寸5分
- 前上がり 無し
仕立てた後のコート寸法
- 身丈 肩3尺5寸
- 裄 1尺8寸5分
- 袖巾 9寸5分
- 肩巾 9寸
- 袖丈 1尺2寸8分
- 袖付 6寸3分
- 前巾 5寸3分
- 後巾 裾7寸
- 竪衿巾 4寸
- 竪衿下り 肩5寸5分
- 肩明き 2寸5分
- 繰越 2寸
- 前上がり 無し
変更した寸法
今回変更した寸法は、後巾と繰越寸法のみ。
後巾について
裾は狭く変更し、帯位置の寸法は仕立て直し前と同寸になっている。
繰越寸法について
繰越寸法を増やすことで斜めのシワを減らすことができた。
まとめ
今回のポイントは、前巾と竪衿巾の寸法は仕立て直し前と後で同じなのに、前からのシルエットが変わったところにある。
竪衿の横に入る斜めのシワは繰越寸法を大きくしたことで良いシルエットを作ることができた。
裾周りに余る布は、後巾を減らすことと、竪衿付けの縫うラインを変えることでスッキリしたシルエットを作ることができると分かった。竪衿付けの縫うラインは標準のまま、前巾を狭くするのはどうかと試してみたが、布が余っているのに裾が開いてしまうという何ともおかしなシルエットとなった。つまり、前巾を狭くするだけでは良いシルエットは作れないと言える。
道行コートは、身丈が長くなればなるほど裾に向かって前巾や後巾を狭くして作るのが標準だが、単純に狭くするだけでは良いシルエットは作れない。前巾・後巾を狭くすることに加え、竪衿付けのライン取りが重要だ言える。
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