全国的にはバチ衿の長襦袢愛用者が多いかもしれないが、ここ名古屋では 広衿 の長襦袢を愛用されている方がとても多い。広衿の魅力は何のか。広衿にすると着心地が良くなるのか。衿合わせがしやすくなるのか。私も今回はじめて広衿長襦袢を仕立て着用し、広衿長襦袢の衿合わせについて考えてみた。
広衿 の長襦袢とは
単純に、広衿で仕立て上がっている長襦袢を指す。
着用時に着物の様に衿を折って着用する。
下の写真、紫の長襦袢が広衿、グレーの格子柄長襦袢がバチ衿で仕上がっている。
なぜ 広衿 の長襦袢を作るのか
広衿の長襦袢は、礼装用と考えられるが、私の修行時代にはすでに留袖用長襦袢もバチ衿で仕立てていたため定かではない。しかし、ここ名古屋では指定しない限り広衿で長襦袢を誂えることが多い。もちろんバチ衿愛用者も多いが、私が名古屋に住むようになって一番驚いた点だ。
広衿 の魅力
広衿の魅力はなんと言っても、長襦袢の衿に適度な厚みあり、ふっくらとした衿が豊かな雰囲気を表現しているところではないだろうか。何を美しいと感じるかは人それぞれだが、ふっくらとした衿を美しい・素敵だ、と感じている。
体型による広衿の魅力
胸が豊かな方、ふくよかな方に広衿の長襦袢をおすすめすることがある。
胸を包むように衿合わせがしたい長襦袢だが、それを叶えるために仕立てでお手伝いするとするなら「広衿」という選択肢もある。しかし今回自分用に仕立て着用した感想からお伝えすると、衿を広衿にするよりも、身巾を変えるという選択の方がより希望に沿うのではないかと思っている。
広衿の衿合わせ比較
バチ衿の長襦袢と広衿の長襦袢を同じボデーに着せてみました。
2つの長襦袢は、繰越・衿の付け込み・肩明きの寸法と切り方が同じ。
違いは、前巾・竪衿巾・衿巾が異なる。
2つの長襦袢を比較してみると、衿の厚みの違いを画像からも感じる。広衿は、胸元に補正が入ったかのようにふっくらと胸元が豊かな印象。それに比べてバチ衿は薄くスッキリととした印象。
“広衿にすれば衿合わせがしやすくなるのか”という疑問が合ったが、明確にしやすくなるとは言い難いと感じた。広衿にした分、着用時の衿の折り方で胸を覆うように衿合わせができるのではないか、と想像していたが、衿の折り方のみでその理想を叶えることは難しいだろう。「胸を覆うために広衿にする」という選択肢は、現時点では、その要望を叶えることはできないだろう。胸を覆いたいならば衿よりも前巾など他の寸法を変えたほうがより効果的だと感じた。
着付けの方法は、ボディーに印を付け同じ位置で衣紋を抜き、衿合わせの角度もほぼ同じ位置になうよう着付けた。
着用事例
着用して感じたこと
広衿に慣れていない私が着用すると、動きとともに衿が開いきてしまった。
この原因は、着用が慣れていないことに加えて、仕立て方に問題があると感じた。
具体的には、抱巾である。今年6月までに仕立てた長襦袢は、全て抱巾を通しという寸法で仕立てきた。抱巾をつけた場合と比較をするためだ。今回着用し、長襦袢には抱巾が必要だ、と確信した。
また広衿で抱巾をつけた長襦袢を仕立て着用し比較したいと思う。
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