以前は着物と長襦袢をセットで仕立てる、と言うよりも、長襦袢は使い回しできた方が合理的で良いと思っていたんですが、最近はやはり一緒に仕立てることは大切だと感じています。
着物と長襦袢をセットで仕立てるとは
「着物を仕立てる時は長襦袢も一緒に仕立てる」ことを指しています。この着物にはこの長襦袢、と言うように着物と長襦袢の組み合わせを決めて置くこと。寸法を合わせて着物と長襦袢を一緒に仕立て、着用するときもこの組み合わせで着用します。でも実際には、できていないのが私の現状です。きっと多くの方も同じ状況なのではと思います。

どこでこの大切さを感じたのか
たまにやってくる訪問着や附下げを着用する機会に、この大切さを感じまています。
いつも寸法の話をするとき、全ての着物を同じ寸法で作る必要は無い、と伝えています。礼装用と普段着用の2パターンの寸法を持つことはよくある事。私も大きく分けて2パターン持っています。
しかし私の場合、だんだんと変化させてきた寸法のせいで、ついに着物と長襦袢の寸法が合わない事態が起こりました。訪問着の裄を長く仕立てていた事をすっかり忘れ、着用したとき着物から長襦袢の振りが飛び出し、コートの袖口から着物が飛び出す。“あれ、今日はなんか飛び出してる”と、着てから気がつく。その時はそのまま出かけますが、やはり気になります。
2パターンの寸法
礼装用と普段着用の2つの寸法を持っています。
礼装用は、普段着用の寸法よりも、裄を少し長くし、繰越を少し大きくしています。礼装用と普段着用は着物も違いますが、長襦袢も違います。礼装用着物には礼装用長襦袢、普段着用着物には普段着用長襦袢。基本的には相容れない着物と長襦袢の組み合わせです。着物と長襦袢の寸法の兼ね合いで一番重要な「裄」と「繰越」を礼装用と普段着用で変えることは全く問題ありません。
礼装用寸法の統一
今回の私には問題点が2つありました。
一つ目は、礼装用長襦袢の更新をしていなかったこと。20代に仕立てた訪問着は、裄も繰越も普段着と同じ寸法。その後、着物経験が増し、30代に仕立てた訪問着は裄が長め。逆に普段着の繰越は小さく変更。普段着用の長襦袢はそれに合わせていくつか仕立てましたが、礼装用長襦袢の更新ができていませんでした。
二つ目は、礼装用反物巾が十分に無い時、裄を普段着と礼装用の中間の寸法で仕立てていたこと。反物巾の都合で礼装用の裄の寸法にバラツキが出ていました。結果、私は礼装用の裄の寸法が1尺8寸、1尺8寸3分、1尺8寸5分、という3パターン持っている状態です。よろしくない状況です。


今後の方向性
①礼装用の裄の寸法を1尺8寸5分、または、1尺8寸のどちらかにすること。裄1尺8寸5分という礼装用の寸法が叶わないとき、「反物巾の取れるだけの寸法にする」のではなく、潔く1尺8寸という普段着用の寸法にすることも大切だと感じました。
②裄1尺8寸5分に合わせたの長襦袢を仕立てる。
③今後は礼装用も裄1尺8寸で仕立てる。
まとめ
「この着物には、この長襦袢」という組み合わせを決めておくことは、裄の問題だけでなく、衿周りの問題も解決してくれます。繰越・衿の付け込み・肩明き、この3つの寸法は、着物と長襦袢の衿周りの添いの良さや心地良さを左右します。例えば、プレタの長襦袢に誂えた着物を着ると、どんなにこだわった寸法で着物を誂えたとしても衿周りのシルエットは長襦袢に左右されます。
私はよく、長襦袢と着物で繰越寸法の違う組み合わせを着ますが、やはり着物の衿が浮きます。繰越寸法が違うことをわかった上で着用しているので、無理に添わせることはせず、浮かせたまま着用します。そんな寸法の合っていない組み合わせを立て続けに着たあと、寸法の合っている組み合わせを着用すると、衿周りの添いの良さに感動します。やっぱりこの着心地だよね、と身体に余分な力が入らない心地よさに安心します。その度に、“寸法の合っていない着物を着るには体力がいる”という言葉を思い出します。
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