着物で人生が楽しくなる仕立ての世界

私にとって「寸法」は、人生そのものです。なぜなら自分で自分の寸法を決めることで居心地の良い世界を作ることができるからです。

寸法=決まりごと

私はいつも着物の寸法について考えています。でもここでお話しする“寸法”は着物に限っていません。私が考える“寸法”は「サイズ」「仕様」「ルール」「手順」などに言い換えられます。つまり、それを形にするための決まりごと、です。

決まりごと=楽しくない?

“決まりごと”と聞くと、めんどくさい、楽しくない、憂鬱などを連想するかもしれません。その原因は、“世間が決めた決まりごと”だからだと思います。“自分が決めた決まりごと”なら楽しくて心地良いものになります。

決まりごとはいつも同じじゃなくて良い

着物の場合、決まりごと=仕立て寸法です。
仕立て寸法を一つに絞る必要はありません。私は自分の着物をいつも色々な寸法で仕立てていますが、私だけではありません。和裁教室の生徒さんを見ていてもその都度寸法を見直し変えている方がたくさんいます。

着物ではなく料理で考えてみます。
料理の場合、決まりごと=レシピです。
レシピには「醤油・酢・砂糖」と書いてありましたが、うちにある酢は少し甘いので砂糖を入れませんでした。
無意識とまではいきませんが、勝手に自分の都合の良いようにレシピを変えています。

家具の配置で考えてみます。
家具の配置の場合、決まりごと=コンセントの場所と部屋の広さです。
誰もが部屋の広さに合わせて収まりの良い家具を購入していると思います。もっと自由に居心地の良い部屋にしたいと思って家を買ったり建てたりすると思います。

全ての決まりごとは、自分の心地良さのためにその時々で変えているし、変えて良いものであり、変えなければいけないもの、だと思っています。

寸法=自由

私にとって寸法は自由を手に入れる手段です。自分に合った寸法にすることで、生きやすくなり、動きやすくなり、無制限を手に入れることができます。無制限の定義は、動きたいときに動ける、です。

自分の着物を色々な寸法で仕立てていますが、全て自分に合った寸法にしているお陰で好みの衿合わせで着用することができ、おはしょりや腰回りの布の余りは適度にあり着心地の良いものになっています。着心地良い着物を着ていることで、着崩れを気にすることなく出かけられ、仕事ができたりご飯を楽しめたり遊んだり、より良い時間を過ごすことができています。

より良い時間は、“生き心地”が良いものです。
自分の周りを生き心地の良いものでいっぱいにすれば、自由が手に入ります。
生き心地の良い人生にするために、私は寸法を考えています。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。