9分丈の道中着を仕立てました。

綿麻の反物で9分丈の道中着を仕立てました。知人が木綿着物の上に防寒兼チリ避け兼雨避けとしてとても便利そうに着用しているので良いなぁと思い私も仕立ててみました。

仕立て寸法

• 身丈　肩3尺5寸
• 裄　1尺8寸5分
• 袖巾　9寸5分
• 肩巾　9寸
• 袖丈　1尺2寸8分
• 袖付け　6寸3分
• 見八ツ口　2寸5分
• 前巾　8寸3分
• 後巾　7寸8分
• 肩明き　2寸5分
• 衿の付込み　2分
• 繰越　1寸5分
• 衿巾　4寸

仕立てのポイント

• 衿巾　4寸
• 前巾　8寸3分
• 裄　1尺8寸5分

解説

衿巾について：
今回は、広衿で仕立てました。道中着の衿は、着物と同様に、広衿・バリ衿があります。広衿も場合、通常は背中心の衿巾は3寸、裾に向かって徐々に広くなり裾で4寸程度にします。今回はこれに対して、裾から背中心まで全て衿巾4寸で仕立てました。背中心で衿巾を広くしても着用時の見栄えも悪くないのではないかと想像しています。また、雨や風が強い時、着物の衿をすっぽり隠せるのではないかとも想像しています。

前巾にいて：
後巾よりも広い前巾になっています。これは、疑問①前巾が後巾よりも広いと仕立てるとき問題があるのか、疑問②後巾を狭くしその分前巾が広くした方が見栄えが良いのではないか、疑問③前巾が広い方が着用時身体の前面をすっぽり隠してくれるので安心感に繋がるのではないか、この疑問を解決したいと思ったからです。

裄について：
コートの裄は、「着物の裄＋2分程度」が標準になっていますが、今回は「着物の裄＋5分」にしました。“コートは衣紋を抜かない”というのが私の考えなので、抜かないなら裄は長くないといけないと思ったからです。

道中着の仕上がり画像

身丈は、着物の上に着用させると裾から着物が2寸ほど見える長さです。

まとめ

前巾が後巾より広くても問題なく仕立てられます。しかし、前巾を広くしてからと言って着用時前身頃の重なりが深くなる物ではないと感じました。上の画像からも分かりますが、道中着という物は、前の合わせ（右身頃と左身頃の重なり）は浅く着用する物だと言えます。前巾を広げても前の合わせが深くなる物ではなく全体のバランスが大切だと感じました。シルエットも身体にぴったりと沿わせる物ではなく、ゆったりと着用する物だと言えます。

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