繰越 を大きくするとどんな着姿になるのか、そして、どんな着心地なのか。
その疑問を解決するため、私にとって普段の繰越寸法より3倍大きな繰越寸法で着物を仕立て、着用した。
繰越を大きくし、あえて衣紋を抜かずに着用してみると
色々な違いを感じることができた。
今回は、衣紋を抜かないことで現れた 脇のたるみ について考えてみる。
衣紋を抜かない着方とは
「衣紋を抜く」とは、着物の肩山を身体の肩山よりも背中側にズラして着ることを指す。
現代は、着物は衣紋を抜いて着るのが一般的であり、主流である。
“衣紋をどのくらい抜くのか”は、年齢や好みにより着る人それぞれが各自で加減をしている。
今回は、衣紋を抜かず、あえて着物の肩山と身体の肩山を同じ位置で着用した。
衣紋をほぼ抜かずに着用してみると、衿合わせはシャープにしかできない と言う事が分かっている。
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横方向に現れる 脇のたるみ
着物を着た時、脇に布が余ることは、着物の構造上当たり前の事だ。
そこで、「どんな余り方をするのが、見栄えが良いのか」 が、問題であると考えている。
今回現れた 脇のたるみ は、
身八つ口とバストトップを結ぶ様に布がたるむ、横方向のたるみだ。
その原因の一つが、衣紋を抜かなかったことだと分かった。
衿合わせをシャープにした場合、脇のたるみは比較的気にならない場合が多い。
なぜなら脇のたるみが、腕を降ろしてし脇を閉じれば隠れる場合が多いからだ。
原因は袖付けの位置にある
ここで言う「袖付けの位置」は、仕立てる時につかう袖付け寸法の事ではない。
どちらかというと、肩巾の意味に近い。
着物の袖付けは、身体の肩から身頃の布が落ち
二の腕の辺りに来るよう作られている。
肩から落ちた身頃の布が 脇のたるみ を作っている。
肩から身頃の布が落ちていない着物は、
存在しないと言って良いだろう。
脇のたるみ を解消するためには
着物の肩山と身体の肩山をズラすのかどうかで
この 脇のたるみ の現れ方が変わる。
言い換えれば、衣紋を抜けば
脇のたるみ を目立たない様にすることができるのである。
衣紋を抜かない場合
バストトップと身八つ口を結ぶように脇のたるみが現れている。
衣紋を抜いた場合
脇のたるみは、身体の脇と身八つ口を結ぶように現れ
このたるみを私は、良しとしている。
まとめ
脇の布が余ることを悩んでいる人が多いが、
洋服の様に布を余らせることなく着物を着ることは不可能である。
以前、肩巾を極端に狭くして仕立てた事があるが、脇の布は無くならなかった。
何をしても無くならない物は無くならない。
もしかすると、この余る布の「余り」という概念を変えなければ行けないのかもしれない。
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