着物の衿合わせはその人の印象を決める大切な要素。
しかし、個人の好みとは裏腹に、着物にはそれぞれ得意な衿合わせの角度が仕立ての段階で決まっている。
“得意な衿合わせ”は、 “ 着崩れしない衿合わせ ” でもある。
ここでは、その着物が持つ “得意な衿合わせ”の角度と、着物の脇線について考える。
脇線 とは
脇線 とは、脇の縫い目の事を私たちは「脇線(わきせん)」と読んでいる。
脇線は脇にしか来ない とは
ここでは、衿合わせの角度による、上半身の脇線の位置の変化について考える。
衿合わせを思いっきり深くしてみる。
脇線は、身体の前の方へ移動しようとするが、下半身の裾合わせをした時の腰紐に固定されているため
一定の位置までしか移動できない。そして、衿合わせのために引っ張られた力は、身八つ口で解消しようとし、バストから脇に向かって布がたるむ。
逆に、シャープな衿合わせにしてみる。
脇線は、身体の横で停止し続けている。
衿をシャープに合わせたからと言って、脇線が身体の後の方へ移動することは無い。
つまり、衿合わせの角度を変えても、その着物の脇線は身体の脇に居続ける。脇線の位置が身体の前や後ろに大きく移動するわけでは無い。その時の力の加わり具合により、布の都合の良いところで力を解消している。
着崩れしない衿合わせ とは
衿合わせによる身八つ口のたるみは、布に“余分な力”が加わっている証拠であり
“余分な力”が加わった衿合わせは、身体の動きと共に、布も動くことになる。
つまり、布が動く=着崩れ になる。
着崩れしない衿合わせ とは、
布に余分な力が加わっていない衿合せ、
バストから脇に向かって、布のたるみが出ない衿合わせ だと考える。
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