“着付けで衣紋を抜かない”と必ず 衿合わせ はシャープになります。着物や長襦袢の寸法により鈍角な衿合わせもできてしまうかもしれませんが、その場合は悪目立ちしている布があるのではないでしょうか。衣紋を抜かずに着用することと衿合わせについて、画像とともに解説したいと思います。
着付けで衣紋を抜かなくても、抜けたように見せることはできる
下の写真は、長襦袢の肩山がボディーの肩の上にあり、着付けで衣紋を抜かずに着用させている。
この写真から分かるように、着付けで衣紋を抜かなくても、衣紋が抜けたように見せることはできる。このような着用をしたい場合は、仕立てる時、繰越寸法を大きくすることで着用可能となる。
着付けで衣紋を抜かずに着用すると何が起こるのか
下の写真は、着付けで衣紋を抜かず、衿合わせを変えて着用させた比較写真である。
左側はシャープな衿合わせ、右側は鈍角な衿合わせになっている。
注目すべき点は脇に余っている布がどのように余っているのかである。
シャープな衿合わせに比べ、鈍角な衿合わせの場合、横方向に布が余っているのが分かると思う。この横方向に余っている布を無くそうと布を下へ引くと、衿は開き、シャープな衿合わせになっていく。
つまり、着付けで衣紋を抜かない=シャープな衿合わせでしか着用できない、と言える。
実際の着用画像で比較
下の2枚の写真を比較する。どちらの写真も衿合わせはどちらかというと鈍角に近い。衣紋を抜かずに着た場合と、衣紋を抜いた場合の比較写真になっている。布の余り方の違いを見てほしい。
着用している長襦袢は、繰越1寸5分の長襦袢である。
繰越寸法が大きいため着付けで衣紋を抜かなくても、衣紋が抜けたような着姿を作ることができるが、衿を詰めて着用すると伊達締めの上に布が余る。この布を無くそうとすると衿は必ず開く。
一方で、衣紋を抜いて着用した場合、伊達締めのすぐ上で余っていた布は無くなりスッキリと着用できている。
この写真からも分かるように、着付けで衣紋を抜かないということは、鈍角な衿合わせに向いていない着付けであると言える。
衣紋を抜かずに着用するメリットとデメリット
衣紋を抜かずに着用するメリット
- 前身頃と後身頃のおはしょりの差が無い
- 着付けで“衣紋を抜く”という一手間を省くことができる
- 衣紋が詰まってくる心配が無い
衣紋を抜かずに着用するデメリット
- 衿合わせを深くすると胸の下に布がたるむ
- 裄が短くなる
まとめ
着物を着る時に衣紋を抜くのが当たり前なのか。
着付けで衣紋を抜かないという選択肢もあるのではないか。
着付けで衣紋を抜かない場合、仕立てで抜けた様に見せることもできるし、男物の様に衣紋を詰めた様に仕立てることもできる。今回は、仕立て寸法がどんな寸法であろうと、着付けで衣紋を抜かずに着用した場合、必ずシャープな衿合わせになることを確認した。
シャープな衿合わせが好みの方は、これまで通り着付けで衣紋を抜いて着ることもできるが、仕立てで抜けたように見せるという選択も可能。鈍角な衿合わせが好みの方は、逆に、着付けで衣紋を抜くことが必須であると言える。
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