声を大にして言いたい。 長襦袢 こそ自分の着方にあった寸法で誂えたほうが良い。

着物を、綺麗に着たい・着心地良く着たい・着崩れをなくしたい、と思ったら、絶対に必要なのは着心地の良い 長襦袢 です。長襦袢の着心地が良いだけで、衿合わせも衣紋の抜き具合もバチッと決まります。ここでは、長襦袢こそ自分寸法で仕立てた方が良い理由を書いてみました。

長襦袢 が重要な理由

長襦袢を誂えると、衿合わせが上手くいく。
衿合わせが上手くいくとは、衿の後ろ姿・正面の衿合わせの角度・首横の衿の立ち具合、三方向全て自分が好きだと思える衿を簡単に作ることができる。長襦袢は、衿のためにあると言っても過言ではない。

衿のために 長襦袢 を誂える

長襦袢を誂えると、自分が好きだと思う衿が簡単に作れるだけでなく、衿崩れがなくなる。特に着用した後、すぐに衿が開いてきてしまう場合は、長襦袢を変えるだけで衿の開きはなくなる。また、衿が首に刺さる、と言う場合も長襦袢を変えるだけで解消される。逆に衿が首から離れていくという場合も、長襦袢を変えるだけで解決する。

胸を覆う衿合わせが好みの人は

胸を覆う衿合わせが好みの人は、標準の割り出し寸法ではなく、衿合わせに合わせた寸法で長襦袢を誂えることをお勧めする。なぜなら胸を覆うだけの布巾が必要になり、つまりは長襦袢の前巾を広くして作ることになる。こういった場合、自分の身体の寸法よりも、大きな長襦袢を作ることになるが、衿合わせは格段にしやすくなる。

長襦袢
胸を覆った衿合わせ:胸を覆うために通常の1.5倍の前巾で仕立てた長襦袢。

シャープな衿合わせが好みの人は

シャープな衿合わせが好みの人は、衿崩れというものがあまり無いかもしれない。
衿崩れが無い人にとって、あえて自分の長襦袢を誂えるというのはよっぽどお洒落な方かと思うかもしれないが、誂えた長襦袢というのは、着付けのテクニックを最小限に抑えて着用することができる。家族のお下がりや頂き物の長襦袢でも、無意識のうちに布を読み、その長襦袢の最適な衿合わせを見つけ、着付けのテクニックで折り合いを付けられるかもしれない。着付けのテクニックがあるというのはとても素晴らしいことだが、使わなくて済むテクニックは使わない方が良いと思う。

長襦袢
シャープな衿合わせ:仕立て寸法は標準。着付けでシャープな衿合わせにしている。

長襦袢ではなく、半襦袢という選択肢

半襦袢という選択肢もある。
長襦袢となると反物代や仕立て代が気になるが、半襦袢ならより安価で済む。人によっては、自分で縫える。半襦袢も自分の好みの衿合わせに合わせた寸法で作ることで、着心地が格段に良くなり、着崩れは最小限で済む。

半襦袢

まとめ

衿周りの悩みを解決したいと思ったら、自分の着方に合った長襦袢を作ることを強くお勧めしたい。自分の着方に合った寸法の長襦袢は、胸紐をキツく締める必要もなく、伊達締めをキツく締めることも必要無い。無駄なシワやたるみが無く着姿が美しい。どんなにお洒落な長襦袢を作っても、その長襦袢を見せた歩くことはできない。でも、衿合わせのしやすさ、着心地の良さを求めるなら、ぜひ自分の着方に合った寸法の長襦袢を作ってほしいと思う。

もう一つ。人の印象は出会って数秒で決まる。着物の場合は、その印象を大きく左右しているのが『衿』だと思う。どんな衿合わせをしていて、どのくらい衣紋を抜いて、どのくらい半衿を出して着ているのかで印象が大きく変わる。着姿というのは自分を表現している最も外側にあり他人から一番見える部分。どんな着姿にするのか考える時、着物の場合は、やっぱり衿が重要な役割を持っていると思う。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。