一生に一度は体験したい“ お誂 ”。松柄の附下げを仕立てました。

白生地から柄を決め、色を決め、完全なオリジナルの着物を作る“ お誂 ”。
着物だから出来る醍醐味かもしれません。

一生に一度は体験したい。

そんな気持ちから、今回、初めて附下げを誂えました。
どこに着ていくとも決めていない着物ですが、生地選びから着用まで全てが楽しかったです。

まずは、仕立て寸法についてまとめました。

着物 附下げ
お誂

仕立て寸法

  • 身丈 4尺2寸5分
  • 裄 1尺8寸
  • 袖巾 9寸5分
  • 肩巾 8寸5分
  • 袖丈 1尺4寸
  • 袖付け 6寸
  • 見八ツ口 4寸5分
  • 前巾 7寸
  • 後巾 7寸5分
  • 抱巾 6寸5分
  • 衽巾 4寸
  • 合褄巾 通し
  • 褄下丈 2尺1寸5分
  • 衽下がり (肩)5寸5分
  • 肩明き 2寸3分
  • 剣先の縫い代 1寸8分
  • 衿の付込み 5分
  • 繰越 3分
付下げ
お誂

仕立て寸法のポイント

・繰越 3分
・抱巾 6寸5分
・合褄巾​ 通し

解説

・繰越 3分について
繰越は小さめで、着付けで衣紋を抜く着方が好みのため。

・抱巾 6寸5分について
附下げや訪問着の場合、柄合わせの都合で抱巾を付けることができない場合が多いが、今回、柄合わせが裾部分のみのであり、厳密な柄合わせの必要がなかったため、裾から抱巾を付けた。

・合褄巾​ 通しについて
抱巾を付けたため、柄をうまく繋ぎ合わせるために「通し」にした。

■なぜ「抱巾を通しにして、合褄巾​を付ける」方法にしなかったのか
仕立て屋の感覚では、抱巾と合褄巾​のどちらかを狭くするなら、合褄巾​を狭くすることを選択する。しかし、その逆の選択も問題なく仕立てられるうえ、着用も可能。逆の選択は着用に不具合が現れるのか、着心地は悪いのか、試してみたくなった。

付下げ
抱巾を付け、合褄巾​を通しにした柄合わせ
衽の柄合わせ

この着物に期待すること

ただただ楽しい仕立てだったため、楽しい気持ちで着られることだけを期待しているが、強いて言うならば、抱巾と合褄巾​の関係を掘り下げたい。この着物については、寸法を試すことよりもお誂を楽しむことを優先した。

仕立てている時の写真

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。