着物や長襦袢、羽織の寸法を色々と変えて仕立て着用していますが、そもそも、なぜこんなにも 着物の寸法 にこだわっているのか、について書いてみたいと思います。
私が寸法にこだわる理由
私が寸法にこだわる理由はただ一つ。
自分の身体と着物の着方に合っていない寸法の着物は、どんなに気に入った生地でも必ず着なくなってしまうから。
着物は生地を選び、自分用に誂えるのが基本。
着心地にはある程度融通の効く着物だが、その範囲を脱すると、だんだんと着るのが面倒になる。“この着物と着ていると必ず衿が開いてくる” とか “この着物を着ると歩きづらい” とか “この着物を着るとどうもグズグズして気になってしょうがない” とか。着物と着る工程や着ている最中に良くない感情が湧くと、その着物と良くない感情が一緒になってしまい、そのうち着なくなってしまう。
どんなに生地が良くて、どんなに気に入った柄であっても、着心地の悪い着物は必ず着なくなってしまう。
気に入って買った物を着ないなんてことは、これほど悲しく勿体無いことはない。
気に入って買った物は、ちゃんと愛着を持って長く着用したい。
そのために、着心地の良い寸法にこだわっている。
着付けで解決するのか、仕立てで解決するのか
着物と長襦袢に関して言えば、ある程度自分の身体や着方と違った寸法でも着付けで解決できる。
“どんな寸法の着物でも、ある程度の範囲であれば何でも着られるし、着付けで解決できる” と、私もこれに共感する。実際に自分の体型よりも3サイズ程大きい着物でも、面倒だなとは思うが、着ることは可能。着付けでいくらでも工夫できる。
しかし、この着付けで解決しようとすること以外に、仕立てで解決することもできる。
つまり、その着物に合わせた着付けをして着物を着るのか、その着物を自分の着方に合わせさせるのか、という問いになる。
着物を着方に合わせさせる、という変な言い回しになっているが
『着物を自分に合わせる=自分が主軸になる』と言うことを強調したい。
『着物に合わせた着付け=着物が主軸』となる。
この場合、着物に逆らわず、布に逆らわずに着物を着よう、と言うような表現になる。
どちらを選ぶのか、その着物ごとに変えても良いし、それぞれで良いと思う。
大切なのは、着付けで解決するのか、仕立てで解決するのか、どちらも選ぶことができるというところにある。
仕立てで解決する方法を知っておくこと
私は仕立て屋なので“仕立てで解決する”方法を自分で知っておきたいと思っている。
仕立ては50年前の着物を見てもほとんんど同じであり、変わらない。
寸法も多少は変化しているが、ほとんど変わらない。
明治時代の仕立て本も難なく読めるほど、変わっていない。
『変わらない=着物とはこう言うものだ』になっていないだろうか。
仕立て屋はこの “着物とはこう言うものだ” ではなく、着物を着る人が “仕立てで解決できる” を選択できるよう、仕立ての可能性をきらきらした気持ちで追い求めることが必要だと思っている。
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着心地は必ず自分で確認すること
着心地を確認するときに大切なことは、その違いをどれだけ精密に感じられるのかという感度だと思う。
私の場合は、時折何かある時には着物を自分で着て出かける程度。
着物を毎日真剣に着ている人は、ほんの少しの寸法の違いを敏感に感じることができるかもしれない。高精度でその違いが分かる方が良いに決まっているが、私自身そうは成れないため、週に1回着用する程度の感度で確認している。
その程度の感度でも絶対に分かるよう、必ず一度は極端な寸法で仕立てる。
そうすれば嫌でも、その着心地の違いを体感できるし、極端な寸法の着物は面白い。
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着物の寸法にこだわって欲しい
着物の良いところの一つに、多少サイズが大きくても小さくても着られるところがある。
これはとても良いところでもあるが、一度は、自分の身体と着方に合った寸法と言うものをぜひ着てほしい。
着心地が良いというだけで、それほど気に入っているわけではない着物も自然と必ず着用頻度が多くなる。
仕立てには、色々な可能性が秘めている。
特に衿は仕立てで大きく変わる。仕立て方により女性的にも男性的にも変えられる。
お袖の長さや丸みの大きさも変えられる。お袖を少し変えるだけで、印象がガラッと変わる。
着用目的別に寸法を変えれば、よりドレッシーな着物にも、よりキリッとしたかっこいい着物にもなる。
私は、スッキリとした着姿が好みなので、袖丈は少し長めだが丸みはあまり付けずキリッと。衿は横に広がらずコンパクトに収まって欲しいので繰越と衿付けで工夫している。
寸法を具体的にどうこうという話は決して必要ない。
最終的な着用イメージさえあれば、こちらで寸法を調整することができる。
色々な寸法の着物を持つことを面倒だと思わず、ぜひ、楽しんで欲しい。
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今年は長襦袢の寸法にこだわっています
2023年は「長襦袢」をテーマに色々な寸法で仕立て着用しています。
長襦袢は着物の土台にもなる大事な部分。小さいすぎるのは論外ですが、大きいすぎる長襦袢は着ることができるのか?!、極端な着物寸法に長襦袢は対応できるのか?!、いろいろなことを試しています。
ぜひこちらも参考にしていただけると嬉しいです。
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